少年の孵化する音
ここは駄絵屋の霞煉が思いつくまま描いたものを垂れ流しに置いてある駄絵ブログです。気分を害されても責任は負えません。閲覧は自己責任でお願いします。
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最後の愛
暗い室内に赤黒い液体が滴り落ちる音がやけに耳に響く

「……泣かないで」

彼女の今にも消え入りそうな声がかろうじて聞こえた。
焦点の合わない瞳で懸命に俺に笑いかけようとするのだが、その笑顔は悲しげな
表情に隠れてしまう。

「もう喋るな、すぐ街まで戻る。それまで耐えてくれ」

そう言ったはいいが、俺自身もかなりの重症で、正直彼女をつれて街まで戻れるか
どうか…
今ある回復剤をすべて使えば、あるいは・・・彼女だけでも助けられるかもしれない

そう考えているとふいに彼女は瞳に怒りの色を見せた

「あた…しは…いいか、ら…あなた、だけ…でも…」

そう言って手先に聖なる力を集中しはじめる
こんな状態で回復スキルなど使えばその反動で彼女は・・・

「…やめろ」

俺の制止の声も聞かずにその光は瞬く間に大きく暖かくふくらんでゆく

「やめろッッ」

思わず大きく張り上げた声に彼女はさもおかしそうに笑う

「あなたを、助けたいの…あたしの事は…これでいいのよ…

ただ、あたしを許さないで…そして憎んでいて…

あ…たしは、あなただけを覚えているから…だから……」

言いながら彼女は最後の回復術を唱えた

「これがあたしからの…最後の、愛(ヒール)…」

儚げに笑んだその顔を俺の瞳から溢れ流れた雫が濡らしていく

「あい……していま、す……」


そう言い残し彼女はその瞼を伏せた

動かなくなった彼女の身体を俺はいつまでも抱きしめていた


Fin
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